本記事では、「アカウントへのアクセスを許可(メールを委任)」機能の仕組みから設定方法、活用時の注意点までをわかりやすく解説します。
本記事では「アカウントへのアクセスを許可(メールの委任)」機能を、以降 「メールの委任機能」として紹介します。
参考:
ユーザーが自分の Gmail アカウントへのアクセスを委任できるようにする
メールを委任する、メールで共同作業する
INDEX
はじめに
ビジネスの現場では、代表メールアドレス(例:info@ や contact@ など)を複数人で確認・返信したいというニーズが少なくありません。しかし、パスワードを共有してアカウントにアクセスする方法には、セキュリティ上のリスクや管理の煩雑さがつきものです。
そんな課題を解決するのが、Gmailの「メールの委任」機能です。この機能を使えば、パスワードを共有せずに、他のユーザーに自分のGmailアカウントへのアクセスを許可(メールの委任)することができ、チームでの代表アカウント運用が安全かつ効率的になります。
メールの委任とは?
メールの委任とは、自分のGmailアカウントへのアクセス権限を、特定の他ユーザーに付与する機能です。
これにより、パスワードを共有することなく、他のユーザーに自分の受信メールの確認や返信作業を代理で行ってもらうことが可能になります。
たとえば、次のようなシーンで活用されています。
- info@〜 などの代表アドレスを複数人で運用したいとき
- 上司のメールを秘書がチェック・返信する必要があるとき
- パートナーやアシスタントに一部のメール対応を任せたいとき
メールの委任機能が使えるGmailのアカウント種別と条件
Gmailのメールの委任機能は、利用しているアカウントの種類によってアクセスを許可できるアカウントが異なります。
アカウント種別 | アクセスを許可できるアカウント | 補足 |
---|---|---|
Google Workspace | 同じ Google Workspace 組織内ののGoogle アカウントのみ | 管理者による機能有効化が必要です。 ドメインが追加されていた場合、エイリアス ドメインはアクセス権の割当が可能です。 ※セカンダリ ドメイン未確認 |
個人用 Gmail(@gmail.com) | 「gmail.com」内の Google アカウントにのみ | Google Workspace アカウントへのアクセス権の割当はできません。 |
委任されたユーザーができる操作(閲覧・返信など)
メールを委任された側(代理ユーザー)ができる主な操作は以下の通りです。
操作内容 | 説明 |
---|---|
受信トレイの閲覧 | 委任元ユーザーの受信トレイを開き、すべてのメールを確認できます。 |
メールの返信・転送 | 委任元のアドレス(例:info@〜)としてメールを送信可能です。送信履歴も残ります。 |
アーカイブや削除 | メールのアーカイブ、ゴミ箱への移動も可能です。 |
設定の変更 | ラベルの追加・削除 委任元のメールに対してラベル付けなどの整理作業が可能です。 |
委任されたユーザーの送信したメールには、代理で送信した送信元のメールアドレスが表示されます。
表示は、メールの送信元・メールの送信先 それぞれに表示されます。
このように、実質的に本人とほぼ同様の操作ができるため、メール対応の代理業務に適しています。
メールの委任機能ではできないこと
一方で、メールの委任機能にはできない操作もあり、以下のような制限があります。
操作内容 | 制限の内容 |
---|---|
アカウント設定の変更 | 「設定」に「アカウント」タブが表示されません。 |
Google Chat の利用 | Gmail内のチャット機能(Google Chat)は委任先では利用できません。 「設定」にチャットに関するタブも表示されません。 |
カレンダー・ドライブへのアクセス | Gmail以外のサービス(GoogleカレンダーやGoogleドライブ)にはアクセスできません。 |
スマートフォンアプリからの利用 | アカウント委任はPCブラウザ版のGmailのみ対応しており、モバイルアプリからは利用不可です。 |
このように、メールの委任機能は「Gmail(メール機能)」に限定されている点に注意が必要です。より広範囲な共同運用を行いたい場合は、Googleグループや共有ラベルの活用なども併せて検討するとよいでしょう。
メールの委任機能の活用シーン
メールの委任機能は、チーム業務や代表アカウントの管理をよりスムーズに、かつ安全に行うための強力なツールです。ここでは、実際の活用シーンを3つの代表的なケースに分けて紹介します。
1.代表メールアドレス(info@ など)を複数人で運用したい場合
info@company.com や support@company.com など、企業の代表メールアドレスを複数人で対応したい場合、メールの委任機能は最適です。
メールの委任機能を活用すれば、次の利点があります:
- パスワード共有不要で安全にアクセスを分担
- 誰がどのメールに対応したかを明確に管理
- 送信メールには送信元が表示されるため、透明性も確保
これにより、セキュリティリスクや管理の煩雑さが伴わなくなります。
2.秘書やアシスタントによる上司のメール代行
上司が多忙な場合、秘書やアシスタントがメールを代わりにチェック・返信する必要があるケースはよくあります。
このときにメールの委任機能を使えば、次のようなことが実現できます:
- 上司のGmailを秘書が代理で開いて確認
- 必要に応じて上司のアドレスからメールを返信(代理送信)
- 上司の受信トレイや送信履歴はそのまま維持
業務を円滑にしながら、セキュリティも保持できるのが大きなメリットです。
3.チームで業務メールの対応を分担したいとき
カスタマーサポートや営業部門などでは、1つのメールアカウントを複数人で扱うシーンが多くあります。
次のような場合でも、メールの委任機能によってスムーズに分担が可能になります:
- お問い合わせの初期対応を新人が行い
- 必要に応じてベテラン社員が引き継ぐ
- シフト制で日ごとに担当者が変わる
このように、メールの委任機能は「安全に」「柔軟に」「効率的に」メール対応を分担できる手段として、現場の業務改善に直結するツールです。
メールの委任機能の設定方法
Google Workspace 管理者設定
Google Workspace の場合、管理者設定が必要になります。
そのため、まず初めに Google Workspace の管理者の設定方法を説明します。
Google Workspace 管理者が委任機能をポリシーでブロックしている場合は、ユーザー側では設定できません。
Google Workspace Admin 画面にアクセス、ログインします。
アプリ > Google Workspace > Gmail にアクセスし、ユーザー設定をクリックします。

「メールの委任」をクリックします。

「ドメインの他のユーザーにメールボックスへのアクセスを委任できるようにする」にチェックを入れ「保存」をクリックします。

組織全体だけではなく、部門単位の設定も可能です。
部門別に設定を行いたい部門をクリックし、「メールの委任」内の情報を変更し「オーバーライド」をクリックします。

Google Workspace 管理者設定は、設定が反映されるまで24時間程度かかる場合があります。
Gmail の設定方法
Gmail の設定方法を説明します。
画面は、Google Workspace の Gmail です
Gmail にアクセスし「設定」をクリック、次に「すべての設定を表示」をクリックします。

「アカウント」タブをクリックします。
Google Workspace 管理者の設定が反映が完了されていない場合「アカウントへのアクセスを許可」項目は現れません。

「別のアカウントを追加」をクリックします。

「アカウントへのアクセスを許可する」ための別ウィンドウが表示されます。
メールアドレス内に、アカウントにアクセスする Google アカウントのメールアドレスを入力し「次のステップ」をクリックします。

「アカウントへのアクセスを許可する」ための別ウィンドウが表示される前に、本人確認などの認証が必要になる場合があります。

「アカウントへのアクセスを許可する」に間違いが無いことを確認し「メールを送信してアクセスを許可」をクリックします。

「許可」画面では、確認のみとなりますのでウィンドウの「✕」ボタンで閉じてください。

「アカウントへのアクセスを許可する」にて、指定したメールアドレスを受信できる、Gmail にアクセスします。
すると「お問い合わせ担当から ◯◯ アカウントへのアクセス権が付与されました。」というタイトルのメールが届いているので開封します。
◯◯は、メールの委任をしたアカウント名です

「このリクエストを承認する場合は、下記のリンクをクリックしてください」と書かれた箇所にあるURLをクリックします。

遷移した確認画面にて「確認」をクリックします。

「確認は完了しました」と表示され、設定は完了です。
この画面では確認のみとなりますのでウィンドウの「✕」ボタンで閉じてください。
反映には30分ほどかかることがあります。

次に、メールの委任が行えるようになったかを確認します。
「Google アカウント」アイコンをクリックし、その他のアカウント内に現るようになった、メールの委任をされたアカウント名をクリックします。

すると、メールの委任をされたアカウントのGmail画面が、別のウィンドウ(またはタブ)にて開きます。
Google アカウントにカーソルを合わせると、アカウントに関する情報表示されます。そこに「代理」と記載されていれば、メールアカウントを委任していることがわかります。

これで確認も完了となります。
動作検証
委任先のアカウントが既読にしたメールが、委任元からも既読になっているかを確認する
委任先アカウントから、未読のメールを1つ選び開封します。

既読になったことを確認します。

委任元でも、メールが既読になったことが確認できました。

代理送信であることを確認する
委任先アカウントから、任意のメールを送信します。

>送信済み を確認します。
宛先に「送信元」という記載があり、メールを代理送信したことがわかります。


委任元の >送信済み も確認します。
宛先に「送信元」という記載があり、メールが代理送信されたことがわかります。
送信先アカウントの受信メールを確認します。
宛先に「送信元」という記載があり、メールを代理送信したことがわかります。

このように、代理で送信したかどうかは、委任元、委任先、送信先全てで確認できることがわかります。
まとめ
Gmail の「メールの委任機能」は、代表アドレスのチーム運用や、メールの代理対応を行いたい企業や組織にとって、非常に有効な機能です。
パスワードを共有することなく、セキュリティを保ちながら業務の分担ができるため、社内の情報管理体制を強化するうえでも重要な選択肢となります。
特に Google Workspace を利用している組織では、info@ や support@ などの共用アドレスを安全に運用する方法として、メールの委任機能は積極的に活用すべきです。
導入前には、機能の制限や管理者設定の有無なども確認しながら、安全で効率的なメール運用体制を整えていきましょう。
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